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個人情報保護の為、2005年で発表が廃止された高額納税者(長者番付)の発表ですが、2004年分までは毎年5月に世間の注目を集めたものでした。ここでは1974年(昭和49年)から1983年(昭和58)年分の長者番付・作家部門に名を連ねた方々を見ていきます。
ちなみに、1982年分(昭和57年)までは納税額ではなく申告所得額が発表されていました。
1981年分(昭和56年)までは、ベスト10。1982年分(昭和57年)以降はベスト20までを列挙しています。
1983年度(昭和58年)からは、発表されるのが申告所得額から所得税納税額に変更されています。
この時代、小説本は非常に読まれており、作家には印税収入を中心に大きな収入がありました。
ソースは、当時の新聞報道によるものです。
申告所得額とは?
簡単に説明をしますと、実収入ー経費=申告所得になります。
時代にもよるようですが、小説家の経費はおおむね実収入の30%が認められていたようです。
例)実収入・・・1億円
経費・・・3000万円
申告所得・・・7000万円
長者番付・作家部門(1974年分~1983年分)です
1974年(昭和49年)分申告所得額
1位 松本清張 3億0959万円
2位 司馬遼太郎 2億1463万円
3位 五木寛之 2億1226万円
4位 遠藤周作 1億8637万円
5位 石川達三 1億0710万円
6位 山岡荘八 1億0283万円
7位 宇能鴻一郎 9712万円
8位 北杜夫 8803万円
9位 川上宗薫 8488万円
10位 花登筺 8023万円
1975年(昭和50年)分申告所得額
1位 松本清張 3億0027万円
2位 司馬遼太郎 2億3512万円
3位 五木寛之 2億2587万円
4位 石川達三 1億3422万円
5位 遠藤周作 1億3403万円
6位 横溝正史 1億1547万円
7位 有吉佐和子 1億1474万円
8位 山岡荘八 1億1259万円
9位 宇能鴻一郎 1億0656万円
10位 井上ひさし 9484万円
1976年(昭和51年)分申告所得額分
1位 松本清張 3億3461万円
2位 司馬遼太郎 3億3032万円
3位 横溝正史 3億3825万円
4位 五木寛之 1億4125万円
5位 森村誠一 1億1042万円
6位 城山三郎 1億0654万円
7位 宇能鴻一郎 1億0477万円
8位 石川達三 1億0237万円
9位 遠藤周作 9947万円
10位 高木彬光 8799万円
圏外では、1976年1月に『復讐するは我にあり』で第75回直木賞を受賞した佐木隆三が3798万円で登場している。
1977年(昭和52年)分申告所得額分
1位 森村誠一 6億2264万円
2位 横溝正史 4億0416万円
3位 松本清張 3億0545万円
4位 司馬遼太郎 2億1785万円
5位 新田次郎 1億7766万円
6位 五木寛之 1億5034万円
7位 城山三郎 1億2768万円
8位 梶原一騎 1億1504万円
9位 高木彬光 1億0564万円
10位 池波正太郎 1億0470万円
※角川書店・角川春樹事務所による、映画×文庫の〝メディアミックス〟で、映画『人間の証明』(1977年)『野性の証明』(1978年)が大ヒットした森村誠一がこの年から2年連続でトップに。
1978年(昭和53年)分申告所得額分
1位 森村誠一 4億3139万円
2位 松本清張 3億1856万円
3位 西村寿行 2億3487万円
4位 司馬遼太郎 1億8863万円
5位 五木寛之 1億7058万円
6位 横溝正史 1億6815万円
7位 新田次郎 1億5140万円
8位 有吉佐和子 1億4812万円
9位 池波正太郎 1億3878万円
10位 梶原一騎 1億3240万円
※昨年、申告所得6100万円だった西村寿行が、申告所得を3.85倍に増やし、一躍3位に。
1979年(昭和54年)分申告所得額分
1位 西村寿行 2億6932万円
本格的な作家デビューから僅か7年で長者番付・作家部門トップに登りつめた西村寿行の生涯についてまとめた記事はこちらです。
⇒昭和後期の超人気作家 西村寿行は本当に凄すぎた! その1
2位 大藪春彦 2億3452万円
3位 五木寛之 2億2013万円
4位 高木彬光 1億9313万円
5位 松本清張 1億7942万円
6位 司馬遼太郎 1億7085万円
7位 池波正太郎 1億5487万円
8位 横溝正史 1億5360万円
9位 花登筺 1億5085万円
10位 半村良 1億4451万円
11位以下
梶原一騎 1億0909万円
瀬戸内寂聴 7828万円
藤原弘達 7306万円(評論家)
開高健 5463万円
山口瞳 5144万円
藤本義一 4840万円
楠本憲吉 4573万円(俳人)
佐藤愛子 4179万円
北杜夫 4080万円
川上宗薫 3675万円
山口洋子 3661万円
草柳大蔵 3143万円
※草柳大蔵は野球人・野村克也がその人生において影響を受けた人物として有名です。
南海ホークスの監督を解任され、選手としても放出された野村の現役引退を引き留めて、野村がロッテ・西武で〝生涯一捕手〟を貫くことになりました。
井上ひさし 2836万円
小田実 2739万円
深田祐介 2721万円
小松左京 2721万円
大岡昇平 2658万円
大江健三郎 2457万円
野坂昭如 1215万円
安部公房 1107万円
阪田寛夫 1065万円
1980年(昭和55年)分申告所得額
1位 司馬遼太郎 3億0102万円
2位 五木寛之 2億7570万円
3位 西村寿行 2億5017万円
4位 松本清張 2億4733万円
5位 大藪春彦 2億0029万円
6位 井上靖 1億6792万円
7位 森村誠一 1億4427万円
8位 遠藤周作 1億2251万円
9位 池波正太郎 1億1704万円
10位 小松左京 1億1435万円
11位以下
黒岩重吾 1億1050万円
筒井康隆 1億0887万円
藤原弘達 1億0500万円(評論家)
花登筺 9659万円
田辺聖子 9201万円
梶原一騎 8587万円
佐藤愛子 7779万円
藤本義一 6666万円
吉行淳之介 6417万円
堺屋太一 6238万円
瀬戸内寂聴 6156万円
山口洋子 5097万円
北杜夫 4477万円
開高健 4383万円
楠本憲吉 3862万円
山口瞳 3794万円
川上宗薫 3404万円
草柳大蔵 3155万円(評論家)
深田祐介 3119万円
井上ひさし 2950万円
入江徳郎 2824万円(評論家)
飯沢匡 2778万円
落合恵子 1575万円
安部公房 1484万円
1981年(昭和56年)分申告所得額
1位 司馬遼太郎 2億9193万円
2位 石坂洋次郎 2億1670万円
3位 西村寿行 1億8746万円
4位 松本清張 1億7853万円
5位 横溝正史 1億4582万円(発表時故人)
6位 五木寛之 1億4264万円
7位 森村誠一 1億4254万円
8位 勝目梓 1億4065万円
9位 笹沢左保 1億3832万円
10位 遠藤周作 1億2961万円
1982年(昭和57年)分申告所得額
1位 松本清張 3億1489万円
2位 赤川次郎 2億7041万円
3位 西村寿行 2億5946万円
4位 司馬遼太郎 2億5731万円
5位 森村誠一 2億4362万円
6位 笹沢左保 1億7016万円
7位 渡辺淳一 1億4707万円
8位 大藪春彦 1億3650万円
9位 池波正太郎 1億1935万円
10位 井上ひさし 1億1861万円
11位 平岩弓枝 1億1492万円
12位 田辺聖子 1億0886万円
13位 西村京太郎 1億0720万円
14位 黒岩重吾 1億0158万円
15位 遠藤周作 1億0131万円
16位 筒井康隆 9823万円
17位 五木寛之 9800万円
18位 梅原猛 9545万円
19位 井上靖 9295万円
20位 平井和正 9003万円
※赤川次郎が初登場でいきなり2位にランクイン。
1981年12月映画『セーラー服と機関銃』公開に合わせて出版された原作文庫がミリオンセラーとなり、赤川次郎の人気が沸騰したことが要因と考えられる。
1983年(昭和58年)分所得税納税額
1位 赤川次郎 4億0838万円
2位 松本清張 1億9201万円
3位 司馬遼太郎 1億5360万円
4位 西村寿行 1億2588万円
5位 西村京太郎 1億0969万円
6位 笹沢左保 1億0733万円
7位 渡辺淳一 1億0117万円
8位 平岩弓枝 9085万円
9位 池波正太郎 8353万円
10位 筒井康隆 8005万円
11位 森村誠一 7933万円
12位 田辺聖子 6815万円
13位 勝目梓 6167万円
14位 大藪春彦 6043万円
15位 平井和正 5800万円
17位 和久俊三 5149万円
18位 斎藤栄 5100万円
19位 三浦綾子 5085万円
20位 遠藤周作 5026万円
※この年から赤川次郎の長者番付・作家部門13年連続1位の歴史がはじまる。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
「億単位の年収があって羨ましい」と思われるかもしれませんが、この申告所得には、当然、所得税・住民税が掛かりました。
このページの下部に税率表を記載しておりますが、日本の所得税率の推移を調べた上で、最も税率が厳しかった時代でありました。
興味のある方は、ご覧くださいませ。
何かございましたら、こちらまでお願いいたします。
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当時の所得税率は恐ろしいものでした!
1974年分~1983年分の所得税率は、過去・現在に至るまで日本の所得税率の推移を見た上で、最も税率が厳しかった時代です。下の税率表をご覧になっていただくと、国税ではなく“酷税”と呼ばれていたことがご理解いただけるかと思います。
1974年分~1979年分は所得税+住民税=最高93%時代!
1974年分~1983年分の所得税率について
なんと19分類に分かれていました。
課税所得60万円以下・・・・・・・・・・・・・・・・・・10%
課税所得60万円超~120万円以下・・・・・・12%
課税所得120万円超~180万円以下・・・・・14%
課税所得180万円超~240万円以下・・・・・16%
課税所得240万円超~300万円以下・・・・・18%
課税所得300万円超~400万円以下・・・・・21%
課税所得400万円超~500万円以下・・・・・24%
課税所得500万円超~600万円以下・・・・・27%
課税所得600万円超~700万円以下・・・・・30%
課税所得700万円超~800万円以下・・・・・34%
課税所得800万円超~1000万円以下・・・・38%
課税所得1000万円超~1200万円以下・・・42%
課税所得1200万円超~1500万円以下・・・46%
課税所得1500万円超~2000万円以下・・・50%
課税所得2000万円超~3000万円以下・・・55%
課税所得3000万円超~4000万円以下・・・60%
課税所得4000万円超~6000万円以下・・・65%
課税所得6000万円超~8000万円以下・・・70%
課税所得8000万円超・・・・・・・・・・・・・・・・・・75%
参考までに、1974年分~1979年分の住民税の税率です。
1973年分から使用されていましたが、細かく13分類に分かれていました。
課税所得30万円以下・・・・・・・・・・・・・・・・・・4%
課税所得30万円超~50万円以下・・・・・・・5%
課税所得50万円超~80万円以下・・・・・・・6%
課税所得80万円超~110万円以下・・・・・・7%
課税所得110万円超~150万円以下・・・・・8%
課税所得150万円超~250万円以下・・・・・9%
課税所得250万円超~400万円以下・・・・・11%
課税所得400万円超~600万円以下・・・・・12%
課税所得600万円超~1000万円以下・・・・13%
課税所得1000万円超~2000万円以下・・・14%
課税所得2000万円超~3000万円以下・・・15%
課税所得3000万円超~5000万円以下・・・16%
課税所得5000万円超・・・・・・・・・・・・・・・・・・18%
よって、1974年分~1983年分の所得税と住民税の最高税率は驚愕の93%でした。
参考までに、1980年分~1983年分の住民税の税率です。
1984年分まで使用されていました。さらに細かく14分類に分かれていました。
課税所得30万円以下・・・・・・・・・・・・・・・・・・4%
課税所得30万円超~45万円以下・・・・・・・5%
課税所得45万円超~70万円以下・・・・・・・6%
課税所得70万円超~100万円以下・・・・・・7%
課税所得100万円超~130万円以下・・・・・8%
課税所得130万円超~150万円以下・・・・・9%
課税所得150万円超~230万円以下・・・・・11%
課税所得230万円超~370万円以下・・・・・12%
課税所得370万円超~570万円以下・・・・・13%
課税所得570万円超~950万円以下・・・・・14%
課税所得950万円超~1900万円以下・・・・15%
課税所得1900万円超~2900万円以下・・・16%
課税所得2900万円超~4900万円以下・・・17%
課税所得4900万円超・・・・・・・・・・・・・・・・・・18%
よって、1980年分~1983年分の所得税と住民税の最高税率は、驚異の88%でした。
本当の最後まで読んでいただいて、心より御礼申し上げます。
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